君とあたしと…彼。
去ろうとする相手の
背中に大声で呼んだ。



「愁!…ゆうには…」

「俺の狙いは…有紗様…」

「…え?」

「と安西だけだ」


それだけ言って
愁…は去っていった。




穏やかな川に夕日が反射し、
涙で崩れるあたしを照らす。



「…せい、や…怒ってる?」



今にも雨が降りそうな空に
あたしは小声で呟いたが…

返事は戻ってこなかった。



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