君とあたしと…彼。
きっと気づいてた…。

ゆうは気づいてたよね?
涙を流していたことを。



弱い彼女でごめんね…ゆう。



「送ってくれてありがと」

「…有紗、あのな」

「ん?」

「しばらくは会えねぇから」

「…だから今日会いに行ったんじゃん」

「…そうだな」



ふっと笑って
凄い力で抱き寄せられた。



「ゆ、う…?」

「あいつの名前…呼ぶな」

「ぇ……」

「俺の名前だけ呼べ」



初めて聞いたから…。
ゆうの弱々しい声を。


あたしはギュッと
ゆうの腰に手を回して
何度も何度も呼んだ。



「ゆう…ゆう…」


と…何度も…――。


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