†Dragon Guardian† ―EXTRA VOLUME―
◆在りし日の憂鬱少年
“ふざけるな”……ただ
ただ、それだけだった。




あの弱虫が高校とやらに
行っている間、俺は暇つ
ぶしに近くの河川敷まで
足を延ばすことにした。

流石に1月の中旬なだけあ
って、川の表面には既に
薄く氷が張られている。

その後目線を微妙にずら
し辺りをぐるりと見渡し
ても、白粉(オシロイ)を塗っ
たようなススキの穂が頼
りなげに揺れるだけで実
に殺風景なものだった。

……それにしても寒ぃな

徐に息を吐きその白さを
確認すると、余計寒さが
身に染みて思わずタート
ルネックを上にあげた。




何だってこんなことに?
さっきから、その疑問ば
かりが酷く頭にこびりつ
いてしょうがねぇ。

dragon eyesだか何だか知
らねぇけど、そんなけっ
たいな力を持ってるって
だけであの弱虫女を押し
付けられるなんざ本当に
たまったもんじゃない。

大体こっちが少し睨んだ
だけでガタガタと震える
ようなひ弱なガキだし、
おまけに根性の欠片もな
いときた。そんな見てる
だけでイライラしそうな
奴と、この先どうやって
やっていけっつーんだ?

今回はたまたまヘマしち
まったけど、アイツに守
られるくらいなら自分一
人で逃げ回った方がよっ
ぽどマシってもんだぜ。

出来ればあんまりやりた
くねぇけど、この際徹に
土下座でも何でもして他
の守護者を探して貰える
よう頼み込んでみるか。

そう考えるといてもたっ
てもいられず、俺は早々
に河川敷をあとにした。




――奇しくもその弱虫に
命を助けられ、あまつさ
え行動を共にするように
なるのはまた別の話――




   【The END】
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