加納欄の奪還 シリーズ25
「まさか、祥子さんに、睡眠薬なんて、入れてないでしょうねぇ」

あたしは、イチを睨んだ。

「まさか、勝手に寝てるだけだよ」

イチは、肩をすくめた。

「ナイフ、どかしなさいよ。無抵抗なんだから」

「悪ぃな。連れてくまで、気を抜くなって、命令でね」

「……連れてく?」

「そ、この女預からせてもらうの」


!!!!


「なに言ってんのよ!ふざけんじゃないわよ!」

「おっと!それ以上動くと、美人の顔に傷つくからな。ついでに、喉元パックリやってもいいんだぜ」

イチは、祥子さんの頬に、ナイフを移動させた。

「やめて!」

あたしは、動けなくなった。

「要求は、何なの?!」

「簡単な事。まずは、美人刑事をさらわせてもらう。当たり前だけど、後をつけるのは禁止、明日南署にその後のこと連絡入れるまで、他の刑事にも他言無用。連絡入れる前に、怪しい動きがあった時点で、わかってるよね?この人の運命が」

「ま、明日連絡あるまで、一人で悩んでてよ」

と言って、シンは、自分のネックレスをあたしにかけた。

「これ、盗聴器、外さないでね。あんたの声が遠くから聞こえたら、その時も美人刑事の命はないと思って」

打つ手がなかった。

「……ねぇ、私が代わりに、人質になるっていうのわ?」


祥子さんを、なんとか助けないと(__)


「俺らは、大人しく来てもらえるなら、どっちだっていいんだけどさ。依頼主が、美人刑事をご所望らしくてさ、悪ぃな。それに、あんた、そ〜と〜強いって話しじゃん?俺ら、ケンカとか嫌いだからさ、痛い思いしたくないじゃん?」

あたしの要求は、きいてもらえなかった。

「じゃ、行くわ」

まるで、友達と軽く挨拶を交わすような感覚で答える。

「待ちなさいよ!」

「待てないのよ」

と言うと、シンが、ポケットから、小型のスタンガンを取り出した。

「とりあえず、店は普通に出たいから、一緒に来てもらおうかな」


外のほうが、救出しやすいか(-_-;)


あたしは、とりあえず大人しく2人に挟まれ、祥子さんは、イチに抱き抱えられながらお店を出た。


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