10日間の奇跡
俺と結香はお互い笑顔のまま家路についた。

「雷斗…。ありがとう。」

結香が申し訳なさそうに言って来た。

「どうしたんだよ。いきなり……

結香に喜んで貰うために俺が勝手に決めたんだから気にするな!!」


結香は俺の言葉に安心した表情を見せてまた笑顔になった。

「うん!!…。」

結香はまだ何か言いたげだったがあえてなのか分かっていたのかは分からないけど俺は聞くことが出来なかった。


普通の人なら「楽しみだね!!」って言えるけど……


俺と結香にとっては嬉しい日でもあり


別れの日でもあるから──…。


多分結香も同じことを考えてると思う……。


いつの間にか笑顔じゃなくなってたから……。


無言のまま家について、夕ごはんを食べた。


美味しい……。



ただ今日の俺はうわべの笑顔しか出来なかった。



結香も同じみたいだ。



別れの日は刻一刻と迫っているのに……。
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