10日間の奇跡
結香はやっと落ち着いて来たようで、床に落ちている奇跡的に割れなかった皿を拾うと軽くすすぎだした。

俺はそんな結香の後ろ姿を見つめた。


無理していることが後ろ姿だけでも分かるのに俺は何も出来ない。


イライラは増える一方だった…。


「結香。ちょっと散歩行って来るわ。」


今はとりあえず落ち着いて考えることが大切だと思っての行動だ。


結香はこくこくとうなずいた。


俺はアパートを出た。


歩いていてもイライラはなかなか消えない…。


1番辛いのは結香だ。
結香を幸せにするって決めたのに。


俺は空を見ながら歩いた。

空は俺の気持ちとは正反対に澄みきってどこまでも続いていた──…。
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