10日間の奇跡
それから時間が経つのを忘れるくらい笑い会った。

まるで付き合っていた頃のように…。

毎日毎日……。

しかし別れは刻一刻と近づいていた──…。

別れが近くなるほど俺は笑えなくなった。

夏樹は相変わらず俺に笑いかけた。

そして別れの日夏樹は俺に言ったんだ。

『あなた……愛してくれてありがとう。

私は幸せだった。

だから…

だから…

笑って──…。』

俺はいつの間にか泣いていた。

だけど笑顔を見せた。

夏樹は笑った。

そして逝った。

『雷斗をよろしくね…。』

って声がした。
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