10日間の奇跡
2.幸せ
俺佐上雷斗(さがみらいと)と彼女姫野結香(ひめのゆいか)との出会いは今から3年前になる──…。






結香と俺は北上高校の1年生になった。

当たり前だけどこのときはまだお互い顔も知らなかった。

このときの俺はサボリ魔で結香は優等生。

そんな正反対の世界の2人が出会ったのは夏休みになる少し前。


もう真夏と言っていいような暑さでクーラーのない教室は生徒たちにとって地獄と化していた。そんな最低な日に俺はいきなり担任に呼び出された。

「佐上!!お前はサボリすぎだっ!!いくら校風が自由だからと言って…お前は自由にしすぎだっ!!!!」


だりぃ…と思いながら話を流すように聞いていた。だが次に担任の口から思わぬ言葉が発せられた。

「そういうお前にはスペシャルな役割を用意してやったぞ……!!」

なんだ……!?俺は喉をごくりと鳴らした。


「それは…図書館の整理だ!!」


「…。」


俺は口をポカンとあけた。多分すごく間抜けな顔をしていたと思う。


しょぼっ!!ここまでしょぼいとは思わなかった…。

「わかりましたあ〜。」

俺は気の抜けた返事をして「さぼろ」っと思い帰ろうとすると担任に呼び止められた。

「佐上!!!今さぼろうとか考えてただろ!!」


ぎくぅ!!恐るべし担任パワー!!


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