君のもの。Ⅱ
「先輩を…、取らないで」
「………」
「僕が死ななければ…、先輩は僕のものだったのにっ…」
「…啓太……」
啓太の泣き叫ぶ声が、響いては消えていく。
「嫌だっ…嫌だよぉ…、先輩は僕のものだったのに…」
まるで幼い子供みたいに、啓太の泣いている姿が目に浮かんだ。
それは、まるで僕…―――。
声も容姿も、涙の意味も、すべてが僕だった。
「…啓太……」
僕は、見えない君に微笑んだ。
メニュー