君のもの。Ⅱ
「何で…そんなこと分かるの?」
「…それは」
それは…、琴夜の涙を見てしまった僕にしか分からないこと。
『…けいた…行かないで…』
思い出したくないけど…。
僕は、琴夜の一番にはなれなかった。
はじめから、琴夜の心には啓太しかいなかったのかもしれない。
どうして、そうと分かっていても僕の心には琴夜しか見えないんだろう。
いつも、琴夜が啓太のことを考えていると思うと胸が痛い。
琴夜にとって啓太の存在は、そんなに重いものだったのかな…。