君のもの。Ⅱ
「…タカ」
啓太のか細い声が降ってきた。
空は厚い雲に覆われている。
「僕は…、タカが羨ましかった」
「……え?」
「先輩と一緒にいて、幸せそうなタカが羨ましかった…」
と、その時…―――。
ブワッと強い風が吹き、勢いよく落ち葉を舞い上げた。
「うわっ…」
僕は思わず顔を伏せる。
「タカ…、驚かないで」
強い風の中に啓太の存在を感じた僕は、大きく目を見開いた。
「啓太っ…!!」
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