君のもの。Ⅱ




「待って…、啓太ぁっ…」



「ごめん、タカ…。もう先輩が来る…」





啓太は階段の方を見ながら静かに呟いた。





そして僕に向き直り、涙で濡れた顔でニコッと笑った。





「さよなら…、タカ」



「…啓太っ!」







すると、啓太の身体がすうっと透き通って見えなくなってしまった。







「……啓太ぁっ…!」







僕はぺたんと地面に座り込んで泣いた。





…ただ悲しくて、泣いた。









「タカっ…!!」





いきなり名前を呼ばれて、驚くあまりに身体がビクッと跳ねた。





「…こ、琴夜っ!」



「タカ、どぉしたのっ…!?」







琴夜が驚いた様子で駆け寄ってくる。





「どぉして泣いてるのっ!?…何かあったっ!?」





琴夜は、座り込む僕の身体を軽々と抱き上げた。





< 125 / 125 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop