君のもの。Ⅱ




琴夜の涙…。

今でも鮮明に覚えてるんだ。





『…けいた…行かないで…』





その声は、弱々しかった。

琴夜の涙は一筋の線を描いてシーツへと落ちていった。





琴夜、僕は、何度も見なかったことにしようと思ったんだよ。



でも、無理だった…。





琴夜、僕は琴夜の涙を初めて見た。



琴夜、ねぇ…琴夜。







僕は悲しいよ…。



僕の知らなかった過去。

僕の知らない琴夜。



ねぇ、琴夜…。





琴夜は僕と出逢う前…。



どんな恋をしていましたか…?







< 3 / 125 >

この作品をシェア

pagetop