君のもの。Ⅱ






悲しくて、ただ悲しくて…。





夢の中で泣いた。







啓太…、僕は、夢の中でさえ君を抱きしめられない。



どうして、君はいないんだ…?





ねぇ、戻ってきてよ…啓太。





死んだなんて、嘘だ…。





嫌だ…、戻ってきてよ。





つい最近まで、僕の隣で笑ってたじゃないか…。









夢と現実の境界線をさ迷いながら、僕は泣いた。



啓太を想って、泣いた。







涙がこんなにも、止まらないものなんだってことを初めて知った。





心がこんなにも、脆いものなんだってことを初めて気付かされた。







今、過去をやり直すことが出来るなら…。



僕は、あの日に戻って君を守りたい。





僕は、君を死なせない…。







お願いだ、啓太…。



…戻ってきてよ。









< 54 / 125 >

この作品をシェア

pagetop