君のもの。Ⅱ
「大丈夫かっ…?」
「…ぇ……?」
聞き覚えのない声が話しかけてきたのが分かった。
見上げると、見たことのない男の先輩が心配そうな顔で僕を見つめている。
僕は、泣いていたことを知られたくなくて、とっさに涙を拭いた。
「お前、…中二っ!??」
僕のネクタイの色を見て、大袈裟に驚く素振りをして見せた先輩。
「そう…ですけど…」
「小っちぇーっ!!!!」
「…え?」
「こんなに小っちぇー中二、初めて見たわぁ~っ!!!!」
目の前で大爆笑している、謎の先輩。
長めな茶髪で、前髪をゴムで結んでいる。
右耳にピアスが二つも付いていた。
いかにも、チャラ男だ…。
ふと、ネクタイの色を見ると、琴夜と同じ色であることに気付く。