君のもの。Ⅱ
「…おいっ!」
拓海って、しつこい…。
でも、どこかで安心している自分に気が付きたくなかった。
「な…、…何?」
今、僕の顔が赤いのを、どうか見逃して…。
どうか、気が付かないで…。
「お前さ…、さっき…何で泣いてた?」
それは、一番聞かれたくないことだ。
思い出させないでほしい…。
「…拓海には、関係ない」
僕は、そう冷たく言い放ってから教室の中に入った。
きっと、拓海に会うことは、もう無いんだろうな…。
なんだか、楽しい人だった。