君のもの。Ⅱ
その日の僕は、拓海という不思議な人物に出逢ったことで、思うほどの悲しみには染まっていなかった。
でも、やっぱり考えてしまうのは司や琴夜のこと。
大切な友達を失った、後悔。
愛しい人との別れを拒む、無力さ。
最終的には自分を責めて、一人で頭を抱え込んだ。
司を傷つけてしまった。
その傷が消えるなら…。
僕は…、責任を取らなきゃ。
琴夜とのことは、無かったことにする…。
もとの形に、他人に、戻るんだ。
今の僕に出来ることと言えば、それだけしか無いんだから。