君のもの。Ⅱ




「何だよ、暗くね?」



「そんなことないよ…」



「そ?…なら良いけど」





拓海とこうやって歩くのは初めてのことだ。



少し緊張している自分が、なんだかもどかしい。





「こーやって並んで歩くとさ、やっぱりお前って小っちぇーよなっ!」



「うっ…うるさいっ!」



「俺の肩も無ぇじゃんっ!」



「これから伸びるんだもんっ…」





やっぱり、失礼なヤツ。





そんな拓海は、言い返せないほどスタイルが良くて、悔しくなるほどカッコよかった。





「あははっ…!別に伸びなくても良いんじゃね?」



「…な、何でっ!?」



「なんつーか、…ちっこくて可愛いじゃん」



「……えっ…」





顔に火がつくって、多分こういうことだ。



拓海がそっぽを向いて言ってくれて良かった。



拓海は、僕の顔をいちいち赤く染め上げてしまう達人だ。







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