君のもの。Ⅱ






「俺っ、まだお前の笑った顔…一回も見たこと無ぇけどさ…」





すると突然、拓海が僕の前に回り込んで、その場にしゃがんだ。



拓海との目線が、同じ高さで絡み合う。







「今…、お前が何悩んでんのか、まったく分かんねぇけどさ…」





拓海の顔がこんなに近くにある。



これじゃ、僕の顔がどれだけ赤くても誤魔化しようが無い。







「俺が近くにいれば、いつかはお前の笑った顔…見れんのかな?」





拓海が笑った。



でも、いつもの笑顔じゃなかった。



悲しそうな、言葉では表せないような、そんな表情だった。





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