君のもの。Ⅱ






「……うんっ…」





僕は頷いた。



自分の目から、何か熱いものが溢れだしていることにさえ気がつく前に。





「な、泣くなよっ…!」





そんな言葉とは裏腹に。





拓海は、僕の手を握って歩き出した。





琴夜みたいに涙を拭ってくれることは無くても、その温度で十分に伝わってくる優しさが嬉しかった。







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