蜜月 -love is blind-【BL】
「――俺がお前を、助けてやるから……っ!」


 動かさない方が良いと思いながらも、神宮の脇の下に手を突っ込んで無理矢理引っ張って、身体を起こさせる。

 その身体の細さと軽さに驚きを感じながら、俺は神宮を抱き締めた。

 女みたいに細くて、頼りない身体を、強く。

 その時、神宮の手がぎこちなく動いて俺のシャツを掴んだ。

 思わずその手を取ると、冷たく強張っている。

 未だ呼吸の荒い背中をさすって、出来るだけ扉から遠い位置に神宮を移動させた。


「直ぐに、ここから出してやるからな」


 そう告げて神宮の身体を放そうとしたら、神宮の手が縋るように伸びてきた。


「大丈夫だから」


 その手を取って、ぎゅ、と握り締める。


「ちょっと待ってろよ」
< 104 / 163 >

この作品をシェア

pagetop