蜜月 -love is blind-【BL】
 握った手を戻して、神宮の頭をそっと撫でる。

 柔らかくて指通りの良い髪がサラサラと流れていった。

 ふと、なんでそんなことをしたのかと思ったけど、今はそれどころじゃない。

 この建物は古いし、幸いにも扉は内向きの引き戸じゃない。

 何度か体当たりすれば、ドアを壊せるかも知れない。


 そう思った俺は、助走を付けて勢いよく鉄扉に突っ込んだ。

 けたたましい音に、耳が少しおかしくなる。

 肩から突っ込んだ所為で身体にも痛みが響くけど、俺の身体なんてどうだっていい。

 神宮が無事なら、それでいい。


 扉に体当たりを始めて7回目。

 打ち身になったらしい両肩が悲鳴を上げる。

 扉には少しずつだけど歪みが出来始めていて、俺と扉と、どっちが先に壊れるか、持久戦と云った所だろう。

 額に浮かぶ汗を拭って、深呼吸をする。


 気になって神宮の方を振り返ると、未だに膝を抱えて居る状態だ。


 もう少し……、もう少しだからな!
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