蜜月 -love is blind-【BL】
「……っ」


 やっべぇ……。

 もう一度、キスしたい。


 そう思ったら、止まれなくて。


 神宮が何か言おうとした瞬間に、俺はまたキスをした。

 逃げようとする身体を抱き締めて、角度を変えて口接ける。


「んーっ、んんーっ!!」


 腕ごと抑えた所為で、神宮が指先だけで俺の胸を叩いた。

 その振動が肩に響いて痛みが走るけど、そんなの気にせず、神宮を抱き締める腕に力を込める。

 薄く目を開けると、目の前で神宮の黒髪と俺の金髪とが混ざり合っていた。

 その奥で、ギュッ、と目を瞑っている。

 涙に濡れた長い睫毛は、所々が束になっていて、化粧でもしてるみたいだ。


 ──俺、咲都が言ってたのとは別の意味で、神宮が好きなのかも。


 女と付き合った事はあるけど、ソイツが好きだったのかどうだったのかはよく憶えてない。

 ただ、興味はあった。

 キスをする事とか、その先の事とか。

 だから、一通りの事は経験したけど。

 今みたいに、どうしようもなくキスしたいとか、無駄に心臓がドキドキしたりとかは、無かった。


 わざと、ちゅ、と音を立てて唇を離すと、涙目になった神宮が俺を睨み付けていた。

 ごしごしと唇を拭う手を取って、俺は正面から神宮を見詰める。
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