蜜月 -love is blind-【BL】
「俺のこと、心配だったって、言ったよね」

「ああ、言ったぜ」

「放課後から、ずっと……君は、俺の心配ばかりしていて……心が、勘違いしているだけだよ」


 俺の気持ちを、そうやって否定すんのかよ。


「勘違いでキスすると思うか?」

「人の心なんて、……案外そんなものだよ」


 余りに冷めた言い方に、神宮の手を掴む両手に、思わず力が入ってしまう。


「じゃあ、なんでキスした時に嫌がらねぇんだよ! さっきから俺の気持ち否定してばっかじゃねぇか!」

「……っ」

「嫌なら抵抗しろよ! お前が曖昧だから……お前が俺を勘違いさせるようなことしてんだろ!!」


 思わず荒げた声に、神宮の肩がびくりと揺れる。


 まずい。

 言い過ぎたかも知れない。

 でも、神宮とは、ちゃんと向き合いたいんだ。


「神宮。俺、マジだから」


 自分を落ち着かせるために、ひとつ、深呼吸をする。

 神宮の目を見詰めて、照れ臭いけど、思いを言葉にする。

 言わないと、絶対に神宮には伝わらないから。
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