蜜月 -love is blind-【BL】
「──ねぇ」


 不意に呼ばれて神宮を見遣ると、やっぱりぎこちない視線とぶつかる。


「さっきからずっと腕組んでるけど、歩きながらって疲れない?」

「え? あ、ああ……そうだよな……」


 腕が楽な格好をしてるだけなんだけど、よく考えてみりゃ不自然だ。

 この痛みを、神宮に気付かれる訳にはいかない。

 腕を揺らしたくない一心で、両手の指をジーンズのポケットに引っ掛ける。

 これなら、不自然じゃない筈だ。

 二階に移動しても相変わらずの人混みで、眼鏡屋自体は直ぐに見付かったが、そこも周りと同じく人がひしめいている。

 俺はまた、神宮をそっと見遣る。

 嫌そうな顔はしていないが、どことなく疲れている様な……。


「すっげー混んでるな。別の店探すか?」

「折角来たんだし、ここでいいよ」


 そう言って、神宮は店の中に入っていく。

 その背中を追って、俺も店内に入り込んだ。
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