VOICE
夢を見た。


お父さんとお母さんが遠くにいる。


私はお母さんに向かって走っていた。


でも、

2人は来ちゃいけないとさけんでいた。


とても悲しげな表情で────。


走っても、走っても、2人は遠くなっていく。

‘待って‘

言いたくても声がでない。

いつのまにか、目から涙があふれてくる。


ついに、見えなくなった。

私は立ち止まり、泣きじゃくった。


ふいにどこかから声が聞こえてきた。


「あなたは、ここにきてはいけない。
 
  早く帰りなさい」


お母さんの声だ。


「そうだ。父さんたちはいつまでも待ってる。
 
   だから、いまは帰るんだ。」


お父さん・・・。


「私たちの希望を抱いて生まれてきた子───。
  のぞみ。」


「お前はまだがんばれる。
  最後まで、希望を持ってあきらめるな───。」


お父さん・・・お母さん・・・。


私・・・がんばるから。見ていてね。



「・・・み・・・の・・み・・・ぞみ・・・」


誰かが・・・


「「のぞみ!!」」


私を呼んでる────。
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