ましゅまろ彼氏
申し訳なさで視線を逸らしながら早口で告げると、軽い駆け足で校門を抜けた。
教室に入って自分の席に座っても心臓はずっと手の温もりにドキドキしっぱなしだった。
先ほどの事で考え込んでいると、突然教室のドアが勢いよく開き何人かの女子生徒が息を切らせて飛び込んできた。
そして私を見つけると早足で私をとりかこんだ。
すると息つく暇もないほど一斉に質問攻めにされた。
「あんた笹夜翔様と付き合ってんの!?」
「なんで手繋いでたの!?」
「翔様とどういうご関係なの!?」
「アンタ誰!?」
「なんで一緒にいたの!?」
頭が混乱している中で『ささやしょう』という名前がぼんやりと浮かび上がった。
なんでもその人は、学年、いや、学校一の美少年でかなりモテモテだとか・・・。
 顔はぜんぜん覚えてないけど。
 何故そんな私とは程遠い人の名前が?
 私の頭には『?』ばかりが浮かんでいた。
 その間もその女生徒達は大声で私に質問を浴びせかけていた。



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