恋の相手は白黒王子

―――ダンッ!!



「っ…」


壁に叩きつけられ、背中に鈍い痛みを感じる。



薄暗い、狭い部屋。

この部屋はもう随分使われてなくて、倉庫状態。



「…お前ってさ、本当いい度胸してるよな」



「……え?」


司は私を挟むようにして壁に両手をつき、顔を近づけてくる。




「男に囲まれて、浮かれてんのか」



「べっ…別にそんなんじゃっ…」





引き込まれそうな茶色の瞳。

整った鼻筋。

怪しく歪む唇。



お願い。

そんな表情で見つめないで下さい…。




「んだよ、顔赤いぞ」



司がキスできるくらいの距離まで顔を近づける。



ふわ…と司の前髪が私に触れる。




それだけで、私の心臓は飛び跳ねる。

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