恋の相手は白黒王子
学校を出て少し歩いた頃、恵介君が足を止める。
「…どうかした?」
「ごめん、電話」
恵介君は微かに震える携帯を持って、すまなそうな顔をしている。
「……椿から、なんだけど」
「出て良いよ?」
別に今更どうって事ない。
そうゆうの気にしないし。
「ごめん」
恵介君は小さく謝って、私から少し離れた。
椿の彼氏が、恵介君かぁ…。
椿を守る為に、わざわざ高校に通ってるなんて。
椿の事、すっごく愛してるんだろうな。
「いいなぁ…愛されてて」
「俺は姫嘉ちゃんの事、すっげぇ愛してっけど?」
後ろから聞き覚えのある声がする。
忘れ去りたい、声。