恋の相手は白黒王子


「やぁ…っ、恵介君!!」


既に恵介君の意識はない。



さっき電話で、椿と楽しそうに話していた恵介君の顔が蘇る。



すごく幸せそうに微笑んでいた彼。




「何でっ…恵介君は関係ないでしょ!!?」


どうして関係のない人を巻き込むの!!?



叫びにも似た声を、啓太にぶつける。


「俺だってそうはしたくないよ、でも仕方ないじゃないか…君が大人しくしていないから」



「っ…」


私のせいだって言いたいの…!?


「ふざけないでよ!もう私に付き纏うのはやめて!」



「それは出来ないかな。…君が欲しいんだ、どんな事をしてでも、ね」



ぎゅっと手首を掴む力が強くなる。



悲しい顔をしたかと思えば、怪しく笑っている。


啓太の心を読む事が出来ない。



…どうしても、諦めてくれないなら。





「私が大人しくついていけば…誰も傷つけない?」



「もちろん」


私一人で…済むのなら。

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