恋の相手は白黒王子
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「っ…ん、はっ…」
「もっと声出して、姫嘉」
薄暗い空き地の角。
既に日は暮れ、周りには誰もいない。
「やっ…やだ…っ」
「駄目だよ、逃げないで」
恥ずかしい声を録音される。
「下手くそだなぁ…」
「…っな!当たり前じゃない!…し、してる時の声なんて出せないよ。それに…そんな声録音して…どうするのよ」
「それは秘密」
啓太は私の顎を掴み、ぐいっと引き寄せる。
「っ…!?」
「分かんないなら、やっぱ生の声にしよっか」
啓太が怪しく笑い、私の背筋が凍る。
「な…っ、何言ってんの…?」
「あれ、通じなかった?だから…」
私の顎を掴んだ手に、力が入る。
そのまま、触れる。