恋の相手は白黒王子

「だったら大人しくその携帯を渡してもらおうか」


「携帯?」



「姫嘉の声を録音した携帯を出せっつってんだよ!!」


身が震えるほどの司の声。



司がこんなに怒ってる理由も、さっきの啓太の言葉の意味も分からない。


全部分かんない。




「司、もういいよ…帰ろう」



「は?」


「私は大丈夫だから、ね?」



「…ざけんな、良いわけねぇだろうが!」


「っ…」


そう叫んだあと、司はばつ悪そうな顔をする。

「…悪ぃ」



「だめじゃん司君、女の子に怒鳴っちゃ」





分かってる、本当は分かってるんだよ。


司がどれだけ私の事考えてくれてるか、どれだけ想ってくれてるか。



でもね、司。


私のせいで司が傷付くのは耐えられないの。



私なんかの為に…あなたが危険な目に会う必要はないの。