恋の相手は白黒王子


バタバタと抵抗しているうちに、プツッと音がした。



…切られた。



瞬間、両手を後ろで縛られ、口に布を当てられる。


「んっ…んん!!」



「お待たせ、姫嘉ちゃん」


背中に、体温を感じる。



啓太に後ろから抱き締められてる。


「っ…、んんっ!」


暴れても、それは無駄だった。


「偉いね、姫嘉ちゃん。たった一人で来るなんて」



…その時、思い出した。


司は…こうなる事を知っていたの?

それで…私の事、守ろうとしてくれてた…?



ぶわっ、と涙が流れた。


こんなに…想ってくれてたのに。



私は…私は何て酷い事を言ったんだろう。


「ふ…ぅ、っ」



「泣いてるの?」


後ろから啓太の驚いた声がする。



「…怖がらなくても大丈夫だよ?」





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