恋の相手は白黒王子


「啓太、お前…何したんだよ」


「そのまんま、キスだけど?」



何だ…この感情は。

何でこんなにイライラするんだよ。



「っ…」


俺がこの得体の知れねぇ感情に戸惑ってる間も、姫嘉は男を殴り続ける。



「おい、姫!」

「ヒメ、止めてよ…ヒメ!」


琉馬達も流石にヤバイと思ったのか、姫嘉を止めようとしている。


しかし、大勢の男どもに邪魔されて、それは叶わない。

俺も同じだ。



「姫嘉ちゃん、俺を殴るなんて度胸あるじゃん?さっきとは大違い」


「うるせぇ…その口、ぐちゃぐちゃに塞いでやるよ」


「女の子がそんな、はしたない事…言うもんじゃないよ」


「黙れっつってんだよ!!!」


姫嘉は再び、啓太に殴りかかる。


これ以上…姫嘉を汚すわけにはいかねぇ!

「離せ!…姫嘉、止めろ!!」



「姫嘉ちゃん、痛いんですけど。そんな事してると…俺がその口塞いじゃうよ?」


啓太が腫れた頬を押さえながら、ニヤ…と笑う。


やばい…。



啓太は怒(いか)ると見境がつかなくなる。

俺だって何度も、殺されかけた。

まぁ、俺もあいつを殺しかけたけど。


< 71 / 140 >

この作品をシェア

pagetop