恋の相手は白黒王子
「啓太、お前…何したんだよ」
「そのまんま、キスだけど?」
何だ…この感情は。
何でこんなにイライラするんだよ。
「っ…」
俺がこの得体の知れねぇ感情に戸惑ってる間も、姫嘉は男を殴り続ける。
「おい、姫!」
「ヒメ、止めてよ…ヒメ!」
琉馬達も流石にヤバイと思ったのか、姫嘉を止めようとしている。
しかし、大勢の男どもに邪魔されて、それは叶わない。
俺も同じだ。
「姫嘉ちゃん、俺を殴るなんて度胸あるじゃん?さっきとは大違い」
「うるせぇ…その口、ぐちゃぐちゃに塞いでやるよ」
「女の子がそんな、はしたない事…言うもんじゃないよ」
「黙れっつってんだよ!!!」
姫嘉は再び、啓太に殴りかかる。
これ以上…姫嘉を汚すわけにはいかねぇ!
「離せ!…姫嘉、止めろ!!」
「姫嘉ちゃん、痛いんですけど。そんな事してると…俺がその口塞いじゃうよ?」
啓太が腫れた頬を押さえながら、ニヤ…と笑う。
やばい…。
啓太は怒(いか)ると見境がつかなくなる。
俺だって何度も、殺されかけた。
まぁ、俺もあいつを殺しかけたけど。