恋の相手は白黒王子
「姫…―――」
俺は姫嘉に手を伸ばしたが、その手は届かなかった。
「っ…!!?」
「なっ…」
俺の目の前で、啓太が姫嘉にキスをしていた。
俺は言葉を失った。
「はぁ……んっ…」
姫嘉が甘い声を漏らす。
啓太は余裕の目で、あざ笑うように俺を見る。
何なんだよ…っ!
啓太が口を離し、今度は姫嘉の首筋を舐める。
「女の子はこうやって黙らせるんだよ、司君」
「は…っ……ん」
「っ、姫嘉を離せ!」
俺は、無意識で叫んでいた。
このモヤモヤとした感情の正体は、分からない。
だけど、もう限界だ。
「…聞こえなかったのか?」