彼に強引にされる



伏せられた睫毛が絹のように滑らかな素肌に影を落として、これがなんとも艶めかしい。

時代劇とかで出てくる、遊女のような色気と気品が相まみえていて、こりゃうちの学校の生徒がホイホイ捕まってしまうわけだ。

と、ひとり納得する。



「ほんと、ちっともわかってらっしゃらない」



なにが、と聞く前に先生は畳み掛けた。

まるで悪戯っ子のような表情で。



――…先生、こんな顔もできたんだ。



そう感心して思った私が馬鹿だった。



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