彼に強引にされる



無駄にモテることを鼻にかけることもなくって。

花が綻ぶような笑みを誰彼となく見せつけて。

気さくで律儀な性格は人を虜にしてやまなくて。


"すきです"っていう愛の告白だって嫌な顔ひとつせず"ありがとうございます"と受け入れて。


…そのくせ私には"すき"の"す"の字も言わせてくれなくて。



これじゃあ奴の思う壺だと思うのに、ヤキモチのひとつやふたつやみっつ、軽々と妬けてしまう。



そんな未知の自分に戸惑って、私は、私自身を、もて余し、自分の感情を、制御できずにいた。



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