彼に強引にされる
よくわからない例えをしてしまったが、まあ簡単に言ってしまえば声フェチじゃない私ですら、"あ、この声いいな"と思うほどだと言えば十分伝わるだろう。
…だからこそ思うのだ。その手のひとからしたら、堪らないほど魅惑的なものなんだろう、と。
とろとろと脳髄を溶かしてしまいそうな奴の声はころころと角度を変えて惑わす万華鏡のようだ。
一寸の無駄も隙もない。
「ほら、手が止まっていますよ」
まるで神様が計算し尽くしたかのような緻密な完璧な声。