彼に強引にされる
ムカッとくるから、イラッとするから、ワントーン低い声が出る。
目の前の、この世界中の生きとし生けるものすべてを虜にしてしまうような、魅惑の声の男。
加えて絵に描いたような……否、雑誌から飛び出してきたみたいな、誰もが立ち止まり振り返り、そして吸い寄せられるかのように目が離せなくなる美形ときた。
その顔がふふ、と蕾が緩やかに開くように笑みをたたえる様と言ったら、さながら菩薩さまのよう。来迎図を目の前で拝んでいるような気分になる。
――…だからなのかもしれない。