飛べない鳥
一人暮らしをして一ヶ月と少し。

俺は高校生になると同時に施設から出て行った。


寂しく思ったが、一人が好きな俺には丁度いい。


生活に必要な額は、俺の母親が俺を施設に送った時に振り込んだらしい。

だから俺は何不自由なく今まで生活してきた。


俺はまだ眠ったままの体を起こし、辺りを見渡す。


辺りは何もなく、唯一目立つモノは、床にそのまま置かれたテレビと、白い壁に飾られた青空の写真だけだ。


毎日何も変わりないこの部屋で俺は毎日起きる。


俺はそんな毎日に飽きたりはしない。


俺にそういう感情がないからか、俺はこれでいいと思っている。


『…憂鬱…』


今日の目覚めは最悪だ。

だって今日は、高校の入学式だからだ。


人混みが苦手で、人間が大嫌いな俺にとっては、最悪の日だ。
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