飛べない鳥
もうドアを開けなくてもインターホンを押した犯人が分かる。


『遥斗~?』


やはり響だ。

俺は鍵を回し、ドアを開ける。


『こんな朝から何だよ…』

飛込んでくる、響の眩しい笑顔。


八重歯を見せながら、
俺が今日着る制服を着て笑っている。



『遥斗忘れてねぇかなって!今日が入学式だってこと』


『あ?覚えてるよ』


『ならいいけど!』


響は靴を脱ぎ、勝手に俺の部屋へと入っていく。

そしてベットに座り、
テレビを見始めた。

途中リモコンを手に取り、さっき俺が音量を下げたのに、響は音量を上げた。


またうるさくなった部屋。

仕方ない。響は俺と同じ経験をもつやつだから。


響は俺が唯一まともに話せる友達。


いや、親友だ。
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