飛べない鳥
動けと体に命令しても、
体は命令に従わない。


でも人間は腹が空く。


空腹な俺の腹に何かモノを入れなければ午後の授業までもたない。


俺は無理矢理にでも、
この大勢の人間の中へと入ろうとした。


一歩一歩、響に追い付く。


『大丈夫か?どれにする?頼んだら、人がいないところに行こうぜ』



『あぁ、さんきゅ。
俺カレーでいいわ』


俺は財布から500円玉を取りだし、響に渡した。



『じゃあ買ってきてやるよ、あのへんで待ってろ』


響が指差した場所は、
人間があまりいない場所だった。



俺はその場所に向かう。


向かう途中、さまざまな生徒達が俺を振り返り見てくるが、俺は何もせず、その場所に行った。



『…見んなよ』



俺の必死な訴えも、
雑音で消されてしまう。



俺がその場所に着くと、
もうそこには先客がいた。
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