飛べない鳥
相変わらず強く降る天然のシャワーは、この地上の汚れを綺麗にしてくれているみたいだ。



ついでに俺の心も綺麗にしてくれよ、と願ったりもした。



『…唯?』


そこには唯がいた。


捨てられた仔猫のような可愛らしい瞳で俺を見上げた。



『…遥斗?』



『どした?顔色悪くね?』


俺は唯の顔色が悪いことに気付く。


唯の隣に座り、
唯の返事を待った。



唯の手を見ると、小刻に震えている。



何故だ?



『…雨…嫌いなの』



唯は今にでも消えてしまいそうな声で俺に言った。



『何で?』



『嫌な思い出があるからかな…』



無理に笑顔を作る唯。


俺はそんな唯を見て、
ほっとけなくなったのか、手を差し出していた。




『…握っててやるよ、怖いんだろ?』



今思えば、俺は無意識の内に大胆な行動をとっていた。
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