飛べない鳥
─沢村 響《さわむらひびき》
俺と同じ歳で、俺と一緒の施設で育った。
響の親は響を置いて、どこかに消えたらしい。
残された響は、施設に預けられたそうだ。
だが響は小学生の頃、
俺のマンションの近くに住む、沢村という夫婦の所に養子として貰われた。
響は今幸せだと言っていた。
辛いはずなのに、幸せと言える響が、かっこよかった。
俺は言えないだろう。
だって俺の心は冷たい氷のようだから。
『なぁ遥斗?』
『あ?』
俺は制服に着替ながら、響を見る。
『今日かわいい子いるかな?』
カッターシャツのボタンを閉めながら、俺は響のどうでもいい話を聞いていた。
『聞いてんの?遥斗』
響が俺の方を見る。
俺は第二ボタンまで留めると、
次はネクタイを締めた。
『…興味ねぇよ?それに、前に付き合ってた…誰だっけ?あや?あき?忘れたけど、そいつは?』
『あ~別れたし、とっくに』
俺と同じ歳で、俺と一緒の施設で育った。
響の親は響を置いて、どこかに消えたらしい。
残された響は、施設に預けられたそうだ。
だが響は小学生の頃、
俺のマンションの近くに住む、沢村という夫婦の所に養子として貰われた。
響は今幸せだと言っていた。
辛いはずなのに、幸せと言える響が、かっこよかった。
俺は言えないだろう。
だって俺の心は冷たい氷のようだから。
『なぁ遥斗?』
『あ?』
俺は制服に着替ながら、響を見る。
『今日かわいい子いるかな?』
カッターシャツのボタンを閉めながら、俺は響のどうでもいい話を聞いていた。
『聞いてんの?遥斗』
響が俺の方を見る。
俺は第二ボタンまで留めると、
次はネクタイを締めた。
『…興味ねぇよ?それに、前に付き合ってた…誰だっけ?あや?あき?忘れたけど、そいつは?』
『あ~別れたし、とっくに』