飛べない鳥
俺の心は闇だった、


暗くて、苦しくて、
俺はそんな世界に一人ぼっちだった。


人間が嫌いで、人間を信じられなくて…



でも、今の俺の心は、闇から変わり始めている。


闇の中に小さな光が見えたんだ。



その光は、唯だろう─…



…─キーンコーンカーンコーン……



俺達の時間を邪魔する音。
唯との時間は終了だ。


俺は唯に聞こえない程度の音でため息を漏らした。



そしてゆっくり出口の方に歩いて行った。



『遥斗!!』


突然唯が俺の名を呼び、
俺の腕を掴み、引き止めた。


『え?』


『…一時間目…サボろうよ?一緒にいよう??』



唯は顔を真っ赤にして俺にお願いをしてきた。


俺は驚いたが、嬉しく思い、もう一度唯の方に戻った。
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