飛べない鳥
唯の宝物を俺に見せてくれた。


特別…そう思ってもいいかな?



『大事に持っとけよ?
思い出のものなんだから』


『うん、私の大事なもの。でもね、このキーホルダーを2個もらったの』



唯はいきなり不思議なことを言い出した。


お母さんから2個、これと同じキーホルダーをもらったらしいが、今目の前にあるキーホルダーは1個しかない。



『もう1個は?』



『確か誰かにあげた気がするの。小さい頃に出会った子に。お母さんね、大切な子にひとつあげなさいって言ったから』



『誰だろうな、もう一個もってるヤツ』



『私の初恋の人かな??』


俺はこれを聞いた時、
少しだけイラッとした。


唯は誰にもうひとつのキーホルダーをあげたのだろう?



もうだいぶ昔のことなのに、俺はそいつに嫉妬した。
< 146 / 354 >

この作品をシェア

pagetop