飛べない鳥
人の心情はさまざまで、
その心情はその人にしか分からなくて、

分かってもらうためには、自分が本気になってぶつかっていかなければ伝わらない。


俺は向き合いたいんだ。


唯に──……



もう梅雨の季節になりそうだ。


湿った風が俺達の間を吹き抜けていく。



『美咲、お前は何がしたいんだよ?唯と話しちゃだめなわけ?お前は俺の何でもねぇじゃん』


美咲は涙目になって、
俺を見てきた。



『私はただ遥斗の事が気になるから…』



『悪いけどその気持ちを受け入れられねぇな。でも美咲にはいろいろしてもらったし、悪く言えねぇよ』



『うん…』


俺は唯の方に視線を変えた。


唯は下を向いて、
未だに肩を震わせていた。


俺は唯の方に行き、
震える肩に自分の手をそっと置いた。
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