飛べない鳥
唯は顔を上げ、
俺をみて微笑んだ。



『美咲?毎日ここに来ているのは俺が来たいからだ。嫌々なんかじゃないし、
唯と話がしたいから来てるんだ』



『……遥斗…ごめんっ…』


美咲は我慢出来なかった涙を流し、屋上から去って行ってしまった。



俺は美咲の去る姿を、
悲しい目で見つめた。


『遥斗…』


唯が俺の制服を引っ張った。



『何?』



『…ありがと…嬉しかった…』



俺は今さっき自分で言った言葉を思い出した。


今になって思えば、なんて恥ずかしい言葉を言ったのだろう?



『忘れろ』


俺は唯の手を握って、
屋上から出て行った。


唯も俺の手を握り返してくれた。



ひとつになった俺達。


幸せすぎた─…
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