飛べない鳥
『遥斗~???』


響はニヤニヤと不気味な笑みを浮かべながら俺の顔を覗く。



俺は唯の手を離し、
何事もなかったような平然な顔を見せた。



『何だよ…』



唯は俺の後ろにすっぽりと隠れていた。



『すげぇ仲良くなってんじゃん!』



響は俺の耳元で囁いた。


それを聞いた俺はみるみるうちに顔が真っ赤になっていく。



『遥斗ウケる~!』



両手を叩いてバカ笑いする響に背を向け、
唯の方を向いた。



唯はバカな響を見て笑っていた。



『唯、お前は早く教室戻れ。バカがうつる』



『分かった!またね遥斗!それと沢村君!』



唯は手を振って、
綺麗な髪をなびかせながら、俺と響の前から消えていった。
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