飛べない鳥
大笑いしていた響が急に笑うのを止め、俺の肩に両手を置いてきた。



『遥斗!どうなってんだよ?』



『…教えねぇ』



俺はとにかく響から逃げたかった。



教室とは反対の道を早足で歩いていく。



響は当然俺を追い掛けてくる。



『言え!遥斗!』



『うっせぇ。黙れ』



『何でだよ!』



何でって…


お前に言ったら絶対またバカ笑いするだろ?


ありえねぇよ。



どこまでも追い掛けてくる響に、俺はうんざりし、歩くのを止め、中庭にあるベンチに腰かけた。



『やっと聞ける』



こう響は呟き、俺の隣に座った。



『…何が聞きたいわけ?』


『菊地唯とのことだよ、ばーか』



お前にバカって言われると無償に腹が立つ。



『ただ…唯と近付いただけ…』



俺はそれだけ言い、顔を下に向けた。
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